ETCカード深夜割引の見直し 22時から5時に拡大 どうかわる深夜割引

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ETCカード深夜割引の見直し 22時から5時に拡大 どうかわる深夜割引

2024年度末頃に見直しされる深夜割引の詳細が2024年7月12日にNEXCOより発表されました。
今までとの違いは?何がどう変わるの?割引は増える?減る?と気になりますよね。

今回は、深夜割引の見直しポンイトと、どう走行すれば損しないかも解説いたします。
最後までこの記事をお読みいただき、新たな深夜割引への理解を深めていきましょう。

深夜割引見直しのポイント

新たな深夜割引は、割引率は30%と変更はありませんが、対象時間がこれまでの0時~4時だったものが、22時から5時までと3時間も拡大します。それだけであれば割引内容が拡充された印象を受けますが、実はその他にも大きな変更点があります。
以下の表で現行の深夜割引と見直し後の深夜割引を比較しています。それぞれについて、ポイントを詳細に解説していきます。
なお、現行の深夜割引は「ETCカードの深夜割引を徹底解説 0~4時の利用で30%割引!高速道路料金の経費を削減 」で解説しています。

↓表は横にスクロールしてご覧いただけます。
対象条件 現行 見直し後
対象車種 すべての車種 すべての車種
対象日時
毎日0時~4時 毎日22時~5時
対象道路 NEXCO3社が管理する高速自動車国道と一部の一般有料道路 NEXCO3社が管理する高速自動車国道と一部の一般有料道路
割引内容
30%(走行距離や割引適用回数の制限なし) 30%(対象時間の走行分のみ※走行距離に上限あり)
割引方法
即時割引型 後日還元型(利用月の翌月20日に無料走行分として還元)

深夜割引適用時間帯の拡大

深夜割引の割引適用時間は現行が午前0時から4時で、見直し後は22時から5時に拡大されます。しかし、現行の深夜割引では、割引適用時間帯(0~4時)を走行すれば全走行分に対して30%の割引率が適用されていたものが、見直し後は割引適用時間帯(22~5時)に走行した分のみ30%の割引率が適用されるため適用範囲が大きく異なります。

●現行

●見直し

深夜割引見直し後の割引計算の方法

●計算方法の具体例

見直し後の深夜割引では、割引適用時間帯の走行分のみ割引適用となるため、現行の深夜割引と比べその計算方法が少し複雑になります。
まず、割引後料金の計算式は以下の通りとなります。

(割引後料金)=(通常料金)×(100%-((割引時間帯の走行距離)÷(全走行距離)×30%))

  1. 全走行が割引適用時間帯だった場合
    1,520円=2,170円×(100%-((74.1km÷74.1km)×30%))
    通常料金2,170円に0.7(70%)を乗じる計算式となり、
    全走行料金が30%割引となります。
  2. 一部走行が割引適用時間帯だった場合
    1,840円=2,170×(100%-((38.1km÷74.1km)×30%))
    カッコ内計算後 (84.575%)
    通常料金2,170円のうち、割引適用時間帯走行分の38.1kmが30%割引、
    残りの60km分は通常料金だった場合に、
    全走行分に対する割引率は約84%になることが分かります。

●深夜割引適用時間帯の走行距離の算出方法

では、深夜割引適用時間帯をまたぐ走行(上記の例2)の場合、どのように深夜割引時間帯の走行距離を算出するのでしょうか。NEXCOの発表資料では「22時・5時前後2点のETC無線通信専用アンテナ等の通信記録(時刻・位置)から算出した平均速度を用いて(同一速度で走行したものとみなして)、22時・5時の位置を推定」とあります。例えば、4時30分に料金所を通過して高速道路に入り、5時30分に74.1km先の料金所から高速道路をおりたとします。また、この間入口料金所から14.1km先のETC通信アンテナと4時40分に通信されたとします。この場合、4時30分から5時までの走行距離を算出しなければいけません。このとき、5時を起点として、直前のETC通信が4時40分、直後のETC通信が5時30分であり、それぞれのアンテナ間の距離が60kmだった場合、平均分速が1.2km/分だということが分かります。ここから以下のことが推定できるようになります。

・最後のETC通信時間(4時40分)から5時まで20分走行しているので、平均分速1.2km/分を乗じると、24km進んだことが分かる

・最後のETC通信は、入口料金所から14.1kmの場所にあるので、14.1km+24kmで38.1km進んだことが分かる

このようにして、深夜割引適用時間帯の走行距離を算出することになります。

※走行距離の算出方法はイメージです。

割引適用の走行距離に上限が設定

見直し後の深夜割引は、適用時間の走行のみ割引の対象となります。ということは、22時から5時まで目一杯走行すればお得?となりそうですが、実は割引が適用される走行距離には上限が設定されます。
割引が適用される距離の上限は、利用時間と車種別に利用時間1時間あたりの上限距離で設定されます。また、4時間以上の走行には、30分の休憩を加味した上限距離が設定されます。これには、厚生労働省が定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に基づいて、無休憩を抑止するためのようです。

●車種別の割引上限距離

・軽自動車等・普通車・中型車・乗合型自動車
利用時間1時間あたり105km

・大型車・特大車(乗合型自動車以外)
利用時間1時間あたり90km
※1時間当たりの上限距離は、高速道路の一般的な法定速度を元に計算されています。

●車種別による上限距離の算出方法

・普通車で3時間走行の場合
3時間 × 1時間当たりの上限距離 105Km = 315km

・大型車で5時間走行の場合(4時間以上のため30分除外)
(5時間 – 30分)× 1時間当たりの上限距離 90Km = 405km

つまり、法定速度を超過して走行したり、ずっと走り続けたりしても割引の範囲外になってしまうだけで「お得」にはならないのです。
無謀な運転の抑止策として上限距離は設定されています。
なお、NEXCOから事前に割引後料金の概算シミュレーション可能なWEBサイト上のサービスを2024年度秋以降を目途に提供される予定とのことです。

割引適用方法が後日還元型に

見直し後の深夜割引は、割引適用方法が後日還元型に変更となります。後日還元とは、現行の「平日朝夕割引」と同様にETCマイレージサービスにて無料走行分として還元される方法になります。これは、見直し後の深夜割引が、車両ごとの通信記録を収集し、それらデータから割り出した割引対象距離を基に割引相当額を算出するため、処理に一定の時間が必要になるということが理由のようです。このことから、出口料金所での料金表示方法が、現行では割引後の料金を表示していたものが、通常料金の表示に変更となります。また、見直し後の深夜割引を受けるためには、「ETCマイレージサービス」への登録が必要となります。ただし、ETCコーポレートカードでは、ETCマイレージサービスに登録ができないため、登録の有無に関係なく、請求時に相当額が割引となります。このように、一般的なETCカードとETCコーポレートカードでは、その割引方法に少し違いがあります。

●ETCコーポレートカードの割引適用方法

大口・多頻度割引が適用されるETCコーポレートカードにおける深夜割引の適用方法には以下の特徴があります。

・ETCマイレージサービス登録不要
そもそも、ETCコーポレートカードはETCマイレージサービスへの登録ができないことから登録不要となります。

・後日還元ではなく後日割引
通常のETCカードでは、無料走行分として翌月に還元されますが、ETCコーポレートカードの場合、割引として割引後料金にて請求されます。
料金所での表示は、割引額が後日に確定するのでETC割引前の金額(ETC通常料金)が表示されます。

なお、大口・多頻度割引は、深夜割引適用後の料金に対して算出・適用されます。

●通常のETCカードの割引適用方法

ETCコーポレートカード以外の、通常のETCカード(クレジットカード付帯ETCカードなど)における深夜割引の適用方法には以下の特徴があります。

・ETCマイレージサービスへの登録が必要
先述の通り、見直し後の深夜割引は後日還元型に変更となり、割引適用のためにはETCマイレージサービスへの事前登録が必要となります。

・後日還元型での割引適用
翌月20日に割引相当額が無料走行分として還元されます。料金所での表示はETCコーポレートカードと同様、割引前の金額(ETC通常料金)が表示されます。

●ETCマイレージサービスへの登録方法

通常のETCカードでは、見直し後の深夜割引を受けるためには「ETCマイレージサービス」への登録が必要となります。

登録方法は簡単で、ETCマイレージサービス公式サイト(外部リンク)から登録できます。
登録の際には、以下を事前に準備しておくと登録がスムーズです。
・ETCカード(カード番号と有効期限が必要)
・車両番号(ナンバープレートの下4桁)
・ETC車載器セットアップ証明書(車載器管理番号が必要)

ETCマイレージサービスに登録すると、見直し後の深夜割引や平日朝夕割引の他に、ETCマイレージポイントも自動で貯まります。貯まったポイントは無料走行分として還元されるので、高速道路をよく利用する方は登録しておくことをおすすめします。

対象路線と距離推定の例外

見直し後の深夜割引では、割引対象となる路線に変更はありません。なお、どれだけ走っても同じ料金である均一料金区間などは、現行の深夜割引と同様、割引適用時間内の走行であれば全走行分が30%の割引率適用となる例外があります。以下の路線がその例外となります。

●割引対象距離推定の例外

【NEXCO東日本】
○道央自動車道(札幌南IC~札幌IC)/後志自動車道/札樽自動車道/ 道東自動車道(池田IC~本別IC・足寄IC)(※1) /東北自動車道(川口JCT~浦和IC) (※1) / 山形自動車道(湯殿山IC~鶴岡JCT)/日本海東北自動車道(鶴岡JCT~酒田みなとIC)/ 東関東自動車道(湾岸市川IC~湾岸習志野IC)(※1)/新空港自動車道(成田SIC~新空港IC)(※1) /東京湾アクアライン(※2)

【NEXCO中日本】
○西湘バイパス/小田原厚木道路

【NEXCO西日本】
○京都縦貫自動車道(八木西IC~篠IC)(※1)/京奈道路/関西国際空港連絡橋/山陰自動車道(安来道路)/広島呉道路 / 松山自動車道(西予宇和IC~大洲北只IC)/南九州自動車道(鹿児島道路)/東九州自動車道(延岡南道路)(※1)/ 西九州自動車道(武雄佐世保道路)/西九州自動車道(佐世保道路)/日出バイパス(※1)/ 九州自動車道(鹿児島北IC~鹿児島IC)(※1)/長崎バイパス

(※1)他の道路・区間と連続して走行する場合を除きます。
(※2)東京湾アクアラインでは、通行料金の引下げ措置やETC時間帯別料金の社会実験(以下、「アクアライン割引」といいます)を実施中で、 現時点においてアクアライン割引と深夜割引は重複して適用されません。

深夜割引見直し後には激変緩和措置も実施

現行では0時から4時の深夜割引適用時間帯を走行していれば全走行が割引対象になるため、昼夜含む1000kmの走行もまるまる3割引きでした。それが「夜の7時間分」だけの深夜割引になってしまいます。 そんな長距離利用の急激な料金負担増と新たな交通集中を防ぐため2つの激変緩和措置が5年程度設けられます。

●深夜割引適用車両のうち1,000km以上走行した場合は、 1,000kmを超える部分を割引対象走行分に追加

深夜割引適用時間帯を走行し、かつ一連の走行が1,000kmを超えた場合、深夜割引適用時間帯の走行分にプラスして1,000kmを超えた走行分も30%の割引率が適用されるということです。

●22時台に高速道路を流出した車両について、22時台に 走行した分の還元率を最大20%

22時台に高速道路を流出した場合、22時0分からの走行分に対しても20%の割引率が適用されます。これは、例えば前日22時から5時の走行後、連続して走行し、当日22時台に流出した場合、前日の割引適用走行分への30%割引と、上記の1,000kmを超える走行分に対する割引と同時に適用されます。

長距離逓制の拡充

今回の深夜割引の見直し運用開始にあわせて、100kmを超えた場合の「長距離逓減制」が、400km超えから段階的に40%~50%割引が追加で拡充されます。長距離逓減制とは、利用距離に応じて通行料金を逓減する制度です。深夜割引とは直接関係のない制度ですが、今回の深夜割引の見直しとあわせて、通行料金負担増を軽減することを目的として拡充されます。なお、この長距離逓減制はNEXCO3社が管理する高速道路のうち、対距離料金を適用する高速自動車国道が対象となります。

●現行

●見直し

深夜割引見直しポイントのまとめ

ここまで説明してきたように、どの車両も平日、土日問わず毎日22時から5時の間の走行分は30%割引になりますが、走行距離に上限があります。無理な運転をせず、休憩もしっかりとりながら賢く割引を適用させましょう。

・毎日22時~5時内の走行分のみに割引適用
・割引適用の走行距離に上限が設けられる
・割引は後日還元型に変更
・ETCマイレージサービス登録が必要
・激変緩和措置も実施される

今回の深夜割引の見直しは、深夜割引の適用を受けるために0時前に料金所手前で滞留する車両の発生や運送業などの労働条件悪化に対する問題を改善するためと言われています。また、無謀な運転や無休憩抑止のための策として割引対象距離への上限が設定されます。割引制度は定期的に見直しがされますので、知らないうちに割引が変わっていた?なんてこともあります。高速道路を利用される際は、最新情報を確認後、うまく活用して経費を削減しましょう。

高速道路の経費削減をお考えなら

高速道路には多くの割引制度が存在します。なかには複雑な割引や、適用に一定の条件がある制度も存在します。また、制度改定が行われることもあるので、なかなか全容を理解するのは難しいかもしれません。
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