全商連だより2025年12月号

全商連だより
2025年12月号

記事紹介

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2026年1月より
『自動車検査証記録事項』が車検時に発行されなくなります

ETC・燃料カードに関するお手続きの際は自動車検査証記録事項が必要です

12月時点では車検時にハガキサイズの「電子車検証」とA4サイズの「自動車検査証記録事項」が同時発行されていますが、2026年1月からの車検では「電子車検証」のみの発行となります。

全商連加盟組合ではETCカードと燃料カードの申込時に、所有者名義、使用者名義の確認を行っております。電子車検証には名義情報は記載されていないため、ICタグに登録されている情報を出力した『自動車検査証記録事項』のご提出をお願いしています。

『自動車検査証記録事項』を閲覧・出力するにはパソコンまたはスマートフォンの「車検証閲覧アプリ」の利用が必要です。

パソコンで閲覧するには

【必要なもの】
・パソコン
・車検証閲覧アプリ
・電子車検証
・ICカードリーダ(ISO/IEC 14443 TypeA規格に準拠)

電子車検証動作確認済みICカードリーダ一覧はこちら

スマートフォンで閲覧するには

【必要なもの】
・NFC対応スマートフォン
・車検証閲覧アプリ
・電子車検証

国土交通省の車検証閲覧アプリについては詳細はこちら

2026年1月1日施行
下請法は取適法へ
― 監督体制を強化-面的執行に ―

前号では、下請法(下請代金支払遅延等防止法)から取適法(中小受託取引適正化法)への改正における、義務項目と禁止項目について解説しました。今回は、法律名の変更に合わせた用語の変更や適用範囲の拡大、監督体制の強化といった全体構造を整理し、法律がどのように現場へ影響するのか確認していきます。

用語の変更

「親事業者」や「下請事業者」といった、上下関係で企業を分類する呼称では適切に実態を表現できなくなってきているとし、取引関係そのものに着目した、より中立的で実態を反映した用語が採用されています。

呼称の変更は、保護対象を限定的な下請関係にとどめず、幅広い企業間取引を適正化の対象にするという考え方の転換を示しています。

適用対象企業を拡大

これまでは委託事業者(親事業者)・中小受託事業者(下請事業者)の区分を資本金のみで判定していましたが、資本金が小さくても実質的に大企業並みの企業、あるいはその逆が存在するため、取適法では従業員数基準も導入されました。

また、運送委託(荷主から運送会社への委託業務)も新たに「特定運送委託」として追加され、これまで対象外だった「IT、デザイン、情報処理、サービス業務等」の委託も対象となり、保護の対象外だった多くの業種・企業が法律の保護下に入る可能性があります。ただし、業種や契約内容によって適用基準が異なる点に留意が必要なため、自社の取引形態を正確に確認することが重要です。

監督強化(面的執行による一斉調査体制)

改正のもう一つの柱が、行政による面的執行(面的調査)です。これは問題が発生した企業に対して個別に対応するのではなく、業界全体・地域全体を対象に横断的に監督する仕組みです。一部の悪質企業だけでなく特定の業種・地域・企業群などをまとめて調査し、業界全体の取引構造を改善することを目的としており、たとえば以下のような取り締まりが想定されています。

  • 業界やサプライチェーン単位での一斉調査・是正指導
  • 特定の委託形態(例:物流委託)を全国規模でチェック
  • 価格転嫁の不足が疑われる業種への横断的な一括調査

これにより「問題が起きてから対応する」ような通報待ちの状態ではなく、定期的なスクリーニングによって、違法な商慣行が発生しにくい環境を作る方向へ変わろうとしています。

年間100件以上のタイヤ脱落事故が発生しています

2024年度には、大型車における車輪脱落事故が120件報告されました。事故の多くは12月から2月にかけての冬用タイヤ交換時期に集中しており、この期間だけで全体の約56%を占めています。さらに、これらの事故のうち70%はタイヤの脱着作業から2か月以内に発生しています。

また、初年度登録から4年を経過した車両や、走行距離が20万km以上の車両で事故が多く発生しており、事故発生の傾向は例年と大きな変化は見られません。

実際に起きた重大事故が示す車輪脱落の危険性

事故の恐ろしさを知って!大型車の車輪脱落事故

大型車のタイヤ衝突実験の動画はこちら

車輪脱落事故では、2023年12月に青森県八戸市の高速道路で発生した事例があります。大型トラックの左後輪2本(直径約80センチ、重さ約70キロ)が走行中に脱落し、そのうち1本が路肩で作業中の道路保全作業員2人に直撃し、死傷する重大事故となりました。

大型車のタイヤが脱落し、歩行者や作業員に直撃した場合、人命に関わる重大事故につながります。また、こうした事故では、運転者だけでなく事業者にも重い刑事罰や行政処分が科される可能性があります。

2023年10月以降、車両総重量8トン以上のトラックにおいて、ホイールやボルトの脱落などによる車輪脱落事故が発生した場合、行政処分として「車両の使用停止」が科されます。さらに、同様の事故が3年以内に再発した場合には、「整備管理者の解任」などの厳しい処分が適用されます。

車輪脱落の主な要因

規定トルクでの締付け不足や増し締め未実施などの締付け不良、潤滑剤の未塗布や不適切使用といった不備が、車輪脱落の主な要因となります。

潤滑剤塗布の有無と軸力の低下

ボルト・ナットは、指定箇所に潤滑剤を塗布しないまま使用すると、締付けを繰り返すたびに、規定トルクに対して発生する軸力が低下します。タイヤの脱着作業時には、点検・清掃を行い、正しい潤滑剤を必ず塗布しましょう。

増し締めによる軸力の変化

規定トルクで締付けを行っても、締結面のなじみ(初期なじみ)は必ず発生します。この状態で放置すると、軸力が低下し、「緩みの限界」を下回る恐れがあります。脱着後50~100km走行後に増し締めをすることで、脱落事故の防止につながります。

車輪脱落予兆装置(後付け)普及促進に補助金最大5万円

車輪脱落防止に、近年開発された車輪脱落予兆検知装置は、安全の確保のみならずドライバーの負担軽減も期待されています。

対象車種

2026年1月30日(金)17:00まで
※先着順で予算がなくなり次第終了

車輪脱落予兆装置の導入に対する支援について詳細はこちら

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