全商連だより Magazine
記事紹介
企業における防災 もしもの時、会社と社員を守るために
国道4,739箇所の地下に空洞 陥没の恐れのある119箇所を修繕
法定養育費を暫定的に決定 子ども1人あたり月2万円
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企業における防災
もしもの時、会社と社員を守るために地震や台風などの自然災害は、私たちの暮らしだけでなく、職場や事業活動にも甚大な影響を及ぼします。2011年の東日本大震災では、工場や事務所の損壊といった直接的な被害に加え、原材料や商品の仕入れ・配送が止まることによる間接的な被害が全国に広がり、関連倒産件数は累計2,000件を超えました。
この出来事は、災害や事故などの緊急事態が発生した際に、重要な業務を中断させず早期に再開するための「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」の必要性を強く認識させるきっかけとなりました。
しかし、国内の事業継続計画(BCP)の策定率はいまだ20%前後にとどまり、大多数の企業が「いざ」という時の備えを十分に整えられていないのが現状です。
いまや、従業員を守り、事業を継続するための「企業防災」の備えは欠かすことができません。
『企業防災』とは
企業が備える災害対策で、人を守る 「防災」と会社を守る「事業継続」の2つの取組があります。
中小企業庁のHPでは策定と運用方法に関する資料や、Wordのテンプレートもございますのでぜひご活用ください。
国道4,739箇所の地下に空洞
陥没の恐れのある119箇所を修繕国土交通省は2024年度に実施した国道の地下空洞調査の詳細結果を発表しました。調査を完了したのは直轄管理する国道約3,079km(調査対象道路20,810㎞の内の約15%)で、路面下から4,739箇所の空洞が確認されています。また、これを陥没リスクの高さに応じて「高」「中」「低」の三段階に分類しています。
上下水道管の老朽化が主因に
この調査は2025年1月に埼玉県八潮市で発生した、大規模な道路陥没事故を契機に行われています。この事故の原因は老朽化した下水道管の破損・漏水による土砂流出から空洞が形成され、道路が崩落したとしています。
国交省は同様の事例が全国で起こり得ると判断し、緊急的に調査を拡大した結果、道路陥没の多くが上下水道管の劣化や破損に起因することが明確になっています。
水道管の耐用年数は40~50年
日本では一般的に上水道管の耐用年数は「40年」、下水道管の耐用年数は「50年」とされています。水道関連のインフラでは40~50年を目安に更新が検討されるのが一般的です。
2023年度末時点で、下水道の標準耐用年数50年を経過した管路は全体の7%(約4万km)になっており、10年後には20%(約10万km)、20年後には42%(約21万km)と、急速に増加すると予測されているため、早急な調査と修繕が求められています。
8月21日には有識者による「下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会」を開催し、下水道の維持管理基準の見直しが議論されており、調査頻度の強化、ドローンやAIによる劣化診断、管路台帳と空洞調査データの統合管理など、技術革新を活用した効率的な管理体制の構築を目指しています。
下水道管の「複線化」「多重化」
国交省は管理体制の様々な課題に対応するため、大口径下水道管の「複線化」または「多重化」を推進する新制度を創設する方針も示しています。一本の管が破損しても、並行する別管に流すことで機能を維持できる仕組みで、更新費用の一部を国が負担し、自治体の整備を後押しする方針です。
法定養育費を暫定的に決定
子ども1人あたり月2万円2024年5月「父母の離婚後等の子の養育に関する民法等の一部を改正する法律」が成立・公布されました。現時点では2026年5月までに施行される見込みです。
その中の「法定養育費」について、法務省は8月29日、子ども1人あたり月額2万円を暫定的に請求できるようにする省令案をまとめたと発表しました。
『法定養育費』って?
父母が離婚した際、養育費の取り決めをしていなくても、子どもを養育する親が相手に請求できる最低限度の費用です。今回、この費用の最低限度額を暫定的に子ども1人当たり月額2万円とすると発表されました。
これまでは父母同士の話し合いや、家庭裁判所での調停・審判で養育費の金額を決める必要があり、合意がなければ請求することができませんでした。また、相手が話し合いに応じなかったり、合意しても支払いが滞ることも多く、養育費を受け取れないケースが多くあります。
厚生労働省が行った2021年の調査では、母子世帯で養育費の取り決めをしているのは約47%にとどまり、実際に養育費を受け取れているのは約28%としている事から、養育費の不払いは一人親家庭が経済的に困窮する大きな要因になっていると指摘されています。
今回の改正では、合意がない場合でも費用を請求でき、さらに支払いが滞った場合、養育費を最優先として給与や口座の差し押さえが可能となります。
なんで2万円なの?
省令案検討の議論では、「生活に必要な額」と「実際に支払える額」を両立させる、という視点が重要視されました。
支払い義務が一律に生じるため、高額を設定すると支払えないケースが発生します。そこでまずは低めの金額を設定し、支払いが困難なケースへの配慮を行ったとしています。
ただし「この額だけ支払えば十分」という意識につながりかねない点が懸念されるため、制度の意図を理解すると共に、正式な取り決めを行うことが重要です。
相手が支払えない時は?
養育費の支払い義務があっても、相手に資産や収入がない場合は、差し押さえによって回収することも難しくなります。
こうした状況を踏まえ、政府では「立替払制度」の導入が議論されています。これは、養育費が支払われないときに自治体や公的機関が一時的に立て替えて支給し、その後に支払い義務者から回収する仕組みです。
いくつかの自治体では既に行われている制度ですが、まだ議論の段階にとどまっており、現時点では省令案などに明文化されているわけではありません。
法務省では今後、省令案の意見公募を行った上で、必要な改正を行う方針です。
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